正確に水平をとったおりこうな建築写真よりも
住み人の笑顔があふれるこういう写真のほうが
断然好きです。
さてと。
真面目で実直だったうちの両親は
私が16のときに家を建てました。
手に手をとって田舎から上京して
2人で働いて、20年近く公団団地に住んで
こつこつお金をためて家を建てました。
建築が始まると
普段無口だった父も母も
それまで見たことがないくらい
はしゃいでいて、うれしそうで、楽しそうだった。
家を建てるということは
人をこんなにも幸福にするんだと思った。
初めて見た本物の青い設計図。
自分だけの部屋に選んだ花柄のクロス。
現場に運んだお茶、強面の職人さん達の顔。
IKEAもニトリもネット通販もなかった時代
街の小さな家具屋さんに
何度も何度も足を運んで選んだ家具。
そんなできごとのひとつひとつが
まだやわらかい16歳の私の心に強烈に残って
たぶんそれが住宅建築を志した
ひとつのきっかけになったんだと思います。
現在私は
幸運にも志叶い建築を生業としています。
こうしてたくさんの施主様の笑顔に出会うたび
あの時の父と母の顔が重なって
幸せのおすそわけをいただいているような
そんなあったかい気持ちになります。
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